スラッシュリーディングの先へ【日本語訳をしない英文の読み方】

「日本語訳しないって言っても、どうやったらいいか分からない」
おそらく、そういう方が多いのでは?
この記事では、英文を速く読むテクニックであるスラッシュリーディングが、日本語訳をしない読み方のきっかけになることを解説します。

スラッシュリーディング【英文読みを加速する必修テクニック】

ぷるちん
スラッシュリーディングって何だっけ?
ぶちさん
英文を小さな単位に区切って読むテクニックだよ

スラッシュリーディングとは、英文を読む時に、意味を成すカタマリごとに区切れる位置にスラッシュを入れて読み進めていく方法のこと。

ただ、実際に英文を読んでいくときには、必ずしもスラッシュを書く必要はありません(もちろん、練習に書いてもいいです!)。

スラッシュリーディングでは、英文を英語の自然な語順通りに読むため、英文を読むスピードが速くなるという利点があります。

そのため、スラッシュリーディングは、TOEICリーディングセクション攻略には、極めて有効なテクニックです。

スラッシュリーディングをもう少し詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。

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これだけでも十分に習得する価値のあるテクニックですが、スラッシュリーディングには、その先にさらに重要な意味があるのです。

スラッシュリーディングにはその先がある【英語を英語のまま理解するための重要なステップ】

スラッシュリーディングには、もうひとつ重要な意味があります。

スラッシュリーディングには、英語を英語のまま理解できるようになるためのステップとしての役割がある

スラッシュリーディングでは、英文を自然な語順のまま読むということに加え、英文を小さな単位に分解するということを行います。

これがものすごく重要な意味を持ちます。

英文が数個の単語から成る小さな単位に分解されるため、その小さな単位であれば、それほど理解するのが難しくなくなります。

再び、「そして誰もいなくなった」の冒頭の英文で、具体例を見てみましょう。

原文
In the corner of a first-class smoking carriage, Mr Justice Wargrave, lately retired from the bench, puffed at a cigar and ran an interested eye through the political news in The Times.
出典:Harper Collins Publishers 「And Then There Were None」Agatha Christie
ハヤカワ・ミステリ文庫
最近現職から引退したウォーグレイヴ判事は一等喫煙車の隅で葉巻をくゆらせ、《タイムズ》の政治記事を熱心に読みふけっていた。
出典:ハヤカワ・ミステリ文庫 アガサ・クリスティー 清水俊二訳「そして誰もいなくなった」
この英文をスラッシュリーディングで読む場合は、例えば以下のように区切って読みました。
In the corner of a first-class smoking carriage,/ Mr Justice Wargrave,/ lately retired from the bench,/ puffed at a cigar/ and ran an interested eye/ through the political news in The Times.

この例では、最初の部分で最大8単語ですが、スラッシュで区切った部分をそれぞれ独立させて考えた場合、パーツとしてその部分だけの意味を理解するのは、文全体を把握するのに比べ、遥かに容易です。

細かく区切った数語の単語の意味を理解するだけならば、単語さえ知っていればそれほど負荷はかからないですよね。

日本語だと、以下のような感じです。

一等喫煙車の片隅でウォーグレイヴ判事は/最近現職から引退した/葉巻をくゆらせ/興味深く目を走らせていた/タイムズの政治記事に。

英文と見比べて確認してもらうと分かりやすいと思いますが、意味を把握できればよいので、数語であれば、あまり厳密に訳する必要もなくなります。

スラッシュリーディングを集中して少しやり続けると、この簡単な数単語であれば厳密に訳さないという状態が感覚的に分かってくると思いますが、これがものすごく重要です。

ここに、すべてを日本語に訳す習慣を打ち破るヒントがあるからです!

 

ぷるちん
3つか4つの単語なら、単語の意味を知ってれば何とかなるか
ぶちさん
うん、細かい文法など気にしないで、意味をつかめればいいんだ!

 

スラッシュリーディングのギア・セカンド【簡単な部分は日本語に訳さない】

スラッシュリーディングを練習しだして、まずはスラッシュで区切った単位で訳しながら理解するのが最初の段階。

そして、簡単な数単語の部分は、逐一日本語に訳さずに意味を把握し、英文を読み続ける状態が、いわばスラッシュリーディングのギア・セカンド。

例えば、上の具体例だと

lately retired from the bench

とか、

puffed at a cigar

みたいな部分は、「引退したんだ」「タバコ吸ってんのね」ぐらいを思い浮かべられればいいわけで、意味が把握できたら先に読み進んでしまえばよいと。

この読み方ができると、格段に英文を読むスピードは速まります。

では、どうしたらこの読み方ができるのか?

スラッシュリーディングのギア・セカンドはどうやって習得する?

答は意外と単純で、次の2つです。

  1. できる限り知っている単語を増やす【語彙力】
  2. 英文を読む量を増やす【慣れ】

スラッシュリーディングのレベルを上げるために英語の語彙を増やそう

英文を少し読み慣れてくると分かると思いますが、結局読んでいて止まってしまうのは、知らない単語に遭遇したとき。

まぁこれは当たり前なわけですが、単語は知らないと分かりません。
分からないと、思考の流れが中断されるので、自然とブレーキがかかります。

英文を読むときのリズムをなるべく崩さないためには、やはり知っている単語が多い方がいいということです。

そしてあとは、慣れの部分が大きいのは避けようがない事実です。

英文を速く処理できる英語脳を作る【英語用のシナプス接続を増強しよう】

「英文に慣れる」とは、どういう状態なのかを解説しますね。

脳には言葉を読んで理解する視覚性言語中枢と呼ばれる部位があります。
日本人の視覚性言語中枢は、基本的には日本語の漢字やひらがなをインプットして、その意味を理解するということをしています。

そこに英文がインプットされるので、視覚性言語中枢は英語用にアルファベットや英単語を理解する処理をしなければなりません。

つまり慣れないことをやらされるので、時間がかかるし、負荷も大きいわけです。
さらに、英語は日本語と語順なども異なるので、処理負荷も高くなります。

これを解消するには、英文を読む機会を増やし、脳がその処理に慣れるしかありません。
しかし、英文を読む量を増やすと、これは着実に解消されていきます。

なぜなら、英文を処理するシナプス接続が増強され、視覚性言語中枢に英語を処理する機能が追加されるからです。

これがいわゆる「英語脳」ができた状態です。

英文を読むための英語脳ができると、英文がインプットされた時に、日本語用とは異なるシナプスがそれらの情報を処理することで、処理速度も上がります。

そして、日本語と異なる語順へも順応していくため、語順入替をして日本語への最適化を図らなくても、不快には感じなくなります。

英語脳について詳しくはこちらを読んでください!

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ぷるちん
やっぱ語彙は必要かー
ぶちさん
うん、必要だ!っていうのは、知らない言葉が自然とわかるようになるなんてことは絶対ないからね。単語だけは覚えないとね。

スラッシュリーディングは、日本語訳をしなくなるきっかけになる

スラッシュリーディングを心がけながら、語彙を増やし、英文を読む量を増やすことで、次第に逐一日本語に訳さないで英文を読めるようになっていきます。

これは理屈ではなく、語彙を増やし、英文を読む量を増やすと自然とそうなります。
人間の脳は学習して、シナプスの構造も変化するからです。

しかし、これを達成するためには、日本語的な読み方をやめる必要があります。

日本語的な読み方、すなわち、【一度英文を先の方まで読んだ後で、語順をひっくり返して日本語的に訳して理解しようとする読み方】をしていると、いつまで経っても英語脳はできません。

スラッシュリーディングの読み方=【英語の自然な語順で、小さな単位ごとに理解する】ことが重要!

スラッシュリーディングは、英語的には自然な読み方です。
だからこそ、英語を英語のまま理解するためのステップになります。

スラッシュリーディングを、日本語訳をしなくなるきっかけにしましょう。

スラッシュリーディングをきっかけに、できる限り日本語訳をしない英文の読み方を目指そう!

そして論理的な帰結としては、十分な語彙力と、十分な英文への慣れが備わったとき、スラッシュリーディングのギア・サード=【完全に日本語訳しない読み方】ができることになります。

と、力んで書いてみましたが、まぁでも、そこまで行き着くのは大変だと思いますし、そこまではすぐにはできなくてもいいですね(^^;;

完全に日本語訳をしない読み方まで行かなくても、まずは日本語訳を減らしていくことを目指すのがよいのではないでしょうか。

その先どこまで行けるかは、個人差もあれば、必要性も人それぞれだ思いますが、TOEICのリーディングのスコアを上げたいとか、洋書を楽しみたいという人には、スラッシュリーディングをきっかけに、できる限り日本語訳をしない読み方をおすすめします!

語彙数を増やしたいですね、やっぱり

スラッシュリーディングのレベルを上げるには、語彙力と英文への慣れという話をしました。
そうすると、慣れの方はともかく、語彙数を増やさないといけないってことですよね。

となると、十分な語彙数ってどれくらいだろうって気になりますよね。

ネイティブの人の語彙数は?

ちなみにネイティブの成人の語彙数は20,000〜35,000語、中学1年でも15,000語前後だそうです。
ネイティブの人は8歳ぐらいで、すでに10,000語程度の語彙数があるみたい。
参考:http://testyourvocab.com/

10,000語ぐらいの語彙数になれば、スラッシュリーディングとかをそれほど意識しなくても、英文はかなり読めるようになると思いますし、TOEICも900点超えるぐらいのイメージですね。

英語学習で必要な語彙数の目安についてはこちらをどうぞ。

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まとめ

  • スラッシュリーディングは、英文を読む時に、意味を成すカタマリごとに区切れる位置にスラッシュを入れて読み進めていく方法のこと
  • TOEICリーディングセクション攻略には、極めて有効なテクニックだが、スラッシュリーディングには、その先にさらに重要な意味がある
  • スラッシュリーディングは、英語を英語のまま理解できるようになるためのステップとなる
  • なぜかというと、英文を数個の単語から成る小さな単位に分解するため、それほど理解するのが難しくなくなり、逐一日本語に訳さずに意味を把握し、読み続けられるようになるから
  • できる限り知っている単語を増やす【語彙力】、英文を読む量を増やす【慣れ】の2つで、スラッシュリーディングのレベルを上げていこう

なかなか日本語に訳さないと言っても、どうしたらそうできるのか分からないという人も多いのではないかと思います。

英文を読むことをあまり多くやったことがない方は、全部日本語に翻訳して理解するということが普通で、そうではない読み方を感覚的に分からないのではないでしょうか。

そこを変えていくのに有用なのが、スラッシュリーディングだということです。

英文を読むことに慣れるのに、洋書読みにチャレンジするという手があります。
こちらでおすすめの洋書を紹介していますので、ぜひ読んでみてください!

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