スラッシュリーディングで2倍速読み【英文読みの最終兵器はこれだ!】

「TOEICのリーディングが大変すぎる」
「どうしたら英文を速く読めるようになるか分からない」
そう思っている方が多いのでは?

この記事では、英文を速く読むために、「日本語的読み方」から「英語的読み方」に変える方法を解説します。

ベースとする考え方は「スラッシュリーディング」です!

これができるようになると、日本語的読み方をしている場合に比べ、英文を読むスピードが倍速になります。
ですので、TOEICのリーディングのスコアが伸びます!

スラッシュリーディングとは?

英文を読む時に、意味を成すカタマリごとに、区切れる位置にスラッシュを入れて読み進めていく方法のことです。

TOEICリーディングセクション攻略には、極めて有効なテクニックです。

ただし、TOEICはメモ書き禁止なので、実際にはスラッシュは書かずに読みます!

スラッシュリーディングには、以下のような利点があると言われています。

❶ 英文を読むスピードが上がる
❷ 副次的効果として、リスニング力も向上する

英文を英語の語順通りに読み、理解していくので、読むスピードが上がります。

スラッシュリーディングの実例

百聞は一見にしかずということで、実際に見てみたいと思います。

次の英文はアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」の第1章の冒頭部分からの抜粋です。
まず原文とハヤカワ・ミステリ文庫の日本語版を見てみてください。

原文
In the corner of a first-class smoking carriage, Mr Justice Wargrave, lately retired from the bench, puffed at a cigar and ran an interested eye through the political news in The Times.
He laid the paper down and glanced out of the window. They were running now through Somerset. He glanced at his watch–another two hours to go.
He went over in his mind all that had appeared in the papers about Soldier Island. There had been its original purchase by an American millionaire who was crazy about yachting–and an account of the luxurious modern house he had built on this little island off the Devon coast.
出典:Harper Collins Publishers 「And Then There Were None」Agatha Christie
ハヤカワ・ミステリ文庫
最近現職から引退したウォーグレイヴ判事は一等喫煙車の隅で葉巻をくゆらせ、《タイムズ》の政治記事を熱心に読みふけっていた。やがて、彼は新聞を置いて、窓の外を眺めた。汽車はいまサマセットを走っていた。彼は時計を眺めた–あと二時間だ。
判事はインディアン島について新聞に現れたすべての記事を心の中でくりかえした。ヨット好きのアメリカの大富豪が島を買いとって、このデヴァンの海岸に近い島に贅を凝らした近代邸宅を建てた記事が最初だった。
出典:ハヤカワ・ミステリ文庫 アガサ・クリスティー 清水俊二訳「そして誰もいなくなった」
次に、同じ英文をスラッシュリーディングで読む場合です。
日本語、英語それぞれに同じ箇所に区切りを入れています。
一等喫煙車の片隅でウォーグレイヴ判事は/最近現職から引退した/葉巻をくゆらせ/興味深く目を走らせていた/タイムズの政治記事に。
彼は新聞を置いた/そして窓の外を眺めた。彼らは今走っていた/サマーセットを。彼は時計を眺めた/あと二時間だ。
彼は心の中でくりかえした/新聞に現れたすべてのことを/ソルジャー島についての。最初の購入についてのことがあった/アメリカの大富豪による/大変なヨット好きの/そして贅を凝らした近代的な家についての説明/この小さな島に彼が建てた/デヴァンの海岸近くの。
In the corner of a first-class smoking carriage,/ Mr Justice Wargrave,/ lately retired from the bench,/ puffed at a cigar/ and ran an interested eye/ through the political news in The Times.
He laid the paper down/ and glanced out of the window. They were running now/ through Somerset. He glanced at his watch-/another two hours to go.
He went over in his mind/ all that had appeared in the papers/ about Soldier Island. There had been its original purchase/ by an American millionaire/ who was crazy about yachting-/and an account of the luxurious modern house/ he had built on this little island/ off the Devon coast.
雰囲気はつかめたでしょうか?
それでは次に、ポイントを2つ見ていきたいと思います。
スラッシュリーディング12

❶ 英語と日本語の語順の違いに慣れよう

ハヤカワ・ミステリ文庫では、なぜかSoldier Islandがインディアン島になっていますが、それはともかく、全然語順が違いますよね。

語順を比べやすいように区切った日本語を先に載せていますが、下段のスラッシュで区切った英文の方を読むときに、頭の中ではこんな感じで理解することになるわけです。

日本語的には、後先逆になっていて、かなり不自然な印象だと思います。

それに対してハヤカワ・ミステリ文庫の方は、日本語にローカライズされた際に、語順の入れ替えをして、日本語への最適化が施されているので自然な文章です。

こちらの方が圧倒的にスッと頭に入ってきます。
そうなのですが、逆に言えば、英語的には不自然なわけです。

英文を速く読もうと思ったら、語順入替という日本語への最適化をやめる必要がある!

英文は書くのも読むのも、向きは左から右です。
でも、日本語に最適化しようとすると、一回先まで読んで、順番をひっくり返さなくてはならない。

これをやってしまうと、読むのに倍以上の時間がかかりますよね。
しかし、多くの日本人は、この最適化を無意識のうちにやってしまいたくなる。
なぜなら、日本語としてはその方が自然だから。

英語のままの語順で理解することは、日本語に慣れた頭にとって、一種不自然さを感じさせるものなわけですが、ここを乗り越える必要があります。

ただでさえ時間の足りないTOEICのリーディングセクションで、この最適化をやってたらまずいです。

この不自然さを克服するのは、言ってしまえば慣れです。
あまり難しいことはなく慣れですが、この読み方の転換は英文読解力を上げていくステップの第一歩として、ものすごく重要です。

語順入替の具体例

さて、ここで「そして誰もいなくなった」で語順入替の具体例をみておきましょう。

具体例❶ 関係代名詞

an American millionaire who was crazy about yachting
ヨット好きのアメリカの大富豪
「who」以下が、後ろから「an American millionaire」を修飾しています。
具体例❷ SVO型→SOV型 主語+動詞+目的語 → 主語+目的語+動詞
He went over (in his mind) all that had appeared in the papers (about Soldier Island).
判事は(インディアン島について)新聞に現れたすべての記事を(心の中で)くりかえした

日本語と英語では動詞と目的語の語順が逆です。

 

ぷるちん
これ理屈じゃなくて、そういうもんだから仕方ないな
ぶちさん
うん、慣れるしかないね。日本語で先に言うところが英語だと後になるので、読む時にちょっと我慢して先まで読むと解るって感じかな。

この語順入替については慣れるしかありませんが、語順入替をして頭の中で日本語への最適化をしている時間がなくなれば、絶対に速く読めるようになります!

そして、スラッシュリーディングの良いところはもうひとつあって、それは文章を小さな単位に分解するところです。

❷ 英文を小さな単位に分解しよう

スラッシュリーディングで、英文をどう区切るかには厳密な決まりはありません。

ひとつには、読む人のリーディング力のレベルによって、自然と区切るところは変わってくるということがあります。
英文に慣れている人ほど、ある程度大きな単位で区切れるようになります。

スラッシュリーディングで英文を区切る目安は?

  1. カンマ、コロン、セミコロン、ダッシュの後
  2. 前置詞の前
  3. 接続詞の前
  4. 関係詞の前
  5. 不定詞(to+動詞の原形)の前
  6. 動名詞の前
  7. 疑問詞節(名詞節)の前
  8. that節の前
  9. 長い主語の後
  10. 長い目的語や補語の前

といった感じですが、これは実際に英文を読むときにはまったく気にしなくていいです。

こんなことを気にしていたら速く読めません。
日本語で文章読むときにも文法など気にしていないのと同じで、英文を読むときにも同じです。

これは、最初にスラッシュリーディングを試してみるときに、「ああ、そうか」と思うための目安です。

区切り方に正解はありません

実際に読むときには、左から右に読み進めて、自分で意味が取れた位置で区切れば良い

上の例文では、例えば↓のように区切っています。

He went over in his mind/ all that had appeared in the papers/ about Soldier Island.

でも、こうでもいいです。

He went over /in his mind/ all that had appeared /in the papers/ about Soldier Island.
正解があるわけではなくて、自分が分かればいいのです。
スラッシュリーディングでやっていることは、長くて複雑な文を小さな単位に分解して、理解しやすくしているだけです。
左から右に単語が出てくる順番に読んでいって、意味が分かったところで頭の中で区切りをつけて、次のカタマリに進むということを繰り返します。
もちろん単語や熟語の意味が分かる必要はありますが、小さな単位に分解することにより、比較的簡単に意味が分かるようにできるのです。

リスニングにも効きます

ちなみにスラッシュリーディングはリスニングにも効きます。

なぜかというと、リスニングは話された順番に聴き取って理解するしかないからです。
つまり、リスニングは強制的にスラッシュリーディングと同じことをやるしかないのです。

そういう意味で、スラッシュリーディングの練習は、間接的にリスニングの練習でもあるわけですね。

スラッシュリーディングの参考書

スラッシュリーディングの入門的な参考書はこちら。
かなり易しい例文で説明されていますので、感覚をつかみやすく、初級者でも入りやすいです!

CD付 究極の英語リーディングVol. 1 (究極シリーズ)

スラッシュリーディングは元々は同時通訳のテクニックからきているそうです。

CD付 プロ通訳強化メソッド活用 英語スラッシュ・リスニング トレーニング (CD book)

まとめ

スラッシュリーディングとは、英文を読む時に、意味を成すカタマリごとに、区切れる位置にスラッシュを入れて読み進めていく方法のことです。

英文を速く読めるようになるため、TOEICのリーディングセクション攻略には大変効果のあるテクニックです。

❶ 英語と日本語の語順の違いに慣れよう
日本語と英語は語順が異なります。
英語では関係代名詞のように後ろから前の言葉を修飾するものがあったり、日本語と英語では動詞と目的語の順番が逆だったりするためです。
英文を読むときに、日本語的な自然さを求めて「日本語への最適化」=語順入替をすると時間がかかってしまいます。
スラッシュリーディングで、語順入替をやめれば、絶対に速く読めるようになります!
❷ 英文を小さな単位に分解しよう
スラッシュリーディングでは、長くて複雑な文を小さな単位に分解することにより、比較的簡単に意味が分かるようにできます。
英文をどう区切るかには、目安はありますが、厳密な決まりはありません。
正解があるわけではなくて、自分が分かる単位に区切ればOKです。

実は洋書読みを続けていると、自然とスラッシュリーディングと同じ読み方になります。

僕は後から「スラッシュリーディング」という言葉を知りましたが、ほぼ同じことをやっていました。
スラッシュを書き込んだりはしていませんでしたが、この読み方に効果があるということは実感があります。

最初は慣れが必要ですが、ぜひスラッシュリーディングを会得して、英文読みが得意になってください!

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