21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考

21 Lessons for the 21 Century

  • 「サピエンス全史」では人類の歴史を俯瞰し、「ホモ・デウス」では人類の未来を予測したユヴァル・ノア・ハラリが、今度は現在に焦点を当て、人類が抱える問題の本質に迫ります。

    共産主義と独裁政権に打ち勝ったかに見えた自由主義が、今、危機に瀕している。

    自由主義による平和と繁栄が続くという「物語」は、少し前までは機能しているかのように見えていた。
    しかし2008年のグローバルな金融危機以降、人々は次第に自由主義に幻滅するようになり、今やポピュリズムとナショナリズムが台頭し、世界は方向性を見失っている。

    そして、ITとバイオテクノロジーの2つの革命による技術的破壊が、人類にこれまでで最大の難題を突きつけてきている。

    ビッグデータを利用するアルゴリズムが人類を凌駕し、人類は存在意義を喪失するかもしれない。あるいは、ITとバイオテクノロジーの融合は、生命を設計し直し、作り変える力を人類にもたらすかもしれない。

    こうした状況の中で、人類は信じるべき新たな「物語」をまだ生み出すことができていない。しかしながら、ITとバイオテクノロジーがもたらす双子の革命は迫っており、人類は今すぐに自分を見つめ直す必要がある。

  • ユヴァル・ノア・ハラリの3作目のベストセラー。今日の世界で起っている問題の本質を知りたければ、ぜひ読んでみてください!

21 Lessons for the 21 Century

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「21 Lessons」の著者

ユヴァル・ノア・ハラリ

「21 Lessons」のページ数

 

432ページ (ペーパーバック)

「21 Lessons」の発売日

2018年9月4日

「21 Lessons」の英語学習レベル(読みやすさ)

英語のレベル 中級

英語レベルは、中級です。

ここで話題となる内容は難しい領域ではあるのですが、英語は意外なほど平易です。

ひとつには、核となる著者のメッセージが明確であることから分かりやすいこと。そして、著者の目的が、多くの人に問題の本質を理解してもらうことであることから、小難しい書き方は避けているのかもしれません。

それと章ごとの主題が明確なので、何について書かれているか理解しやすいということも読みやすさにつながっていると思います。

「21 Lessons」はどういう人向きの洋書?

まず「サピエンス全史」「ホモ・デウス」を読んだ方は、ぜひ。

本書は、現在の世界が抱える様々な問題に焦点を当てているので、そうした話題を掘り下げてみたいビジネスマンの方にはうってつけのビジネス書ではないでしょうか。

歴史的な事例だけでなく、SF、ディズニー映画など、意外な角度からユーモアを含んだ切り口で、世界が抱える問題を語っています。

ですので、現代社会の問題を英語でどう表現するのかを知りたい、英語でどう知的に語るのかを知りたいという方には参考になる洋書です。

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「21 Lessons」へのコメント

メッセージは『みんなで考えよう』ということ

著者の今回のメッセージは、『これからものすごく大きな変化がやってくるので、その前に人類はもっと自分のことを見つめ直しておいた方がいい。みんなで考えよう』ということ 。

だから、この本には何か確固たる結論があるわけではありません。本書は多くのことを教えてくれますが、こうすりゃいいんだという解答が載っているということではなく、考えるべきことの土台を与えてくれるものです。

これは「ホモ・デウス」にも共通する著者のスタイルですね。

世界は複雑になりすぎて一人の人間には理解できない

個人が先を見る力には限界があります。

個人的にも身の回りで感じた例があります。
IT側から関わってきた金融についてですが、例えば2000年頃の銀行では、支店の存在がここまでインターネットとスマホに脅かされるとは思っていなかったのではないでしょうか。

ITで金融に関わっていた人達の間では、この方向で進めばどう考えても銀行の支店は不要になるよねと言われていましたが、金融関係者で本気でそれを心配している人は当時はほとんどいなかったように思います。

個人レベルの判断は、ある程度限定的なヒューリスティックな分析、過去の体験に基づいた推測になりがちです。結局、人って個人的な尺度に引っ張られますし、正常化バイアスも働いて、論理的な帰結が必ずしも選択されるわけではないですよね。

そして著者が指摘しているように、我々は論理よりも情動や経験則で判断していますが、その基盤にあるのは石器時代、狩猟採集民として暮らしていた長い期間に培われたものであり、シリコン時代にはまったく不適切なものでしかないというのは、その通りですね。

しかし否応なしに大きな変化はやってくる

特に著者が何度も強調している『ITとバイオテクノロジーの双子の革命』は、一見するとそれらがもたらすものがあまりにもSF的すぎて、一般の人からは現実感がなさすぎます。

けれども、それは過去に縛られた見方であって、客観的かつ長期的に物事が判断できる人からすれば、そろそろ本気で心配しなければならない事項なのでしょう。

であるにも関わらず、考えている人が少なすぎるということかもしれません。そして現実化した時には、すでに遅いということになりかねない。

やっぱりAIは怖いかもしれません

著者が指摘していることで、ひとつ、改めて怖いなと思ったことがあります。それは、AIが持つconnectivity(接続性)と updatability(更新可能性)についてです。

AIに仕事が奪われるっていうのは、巷でよく出てくる話題ですが、著者は、個々の人間が今後対峙することになるのは、AIを搭載した個々のロボットなどではなく、統合化されたAIのネットワークだと指摘しています。

マシンラーニングで極めて短時間で人間を凌駕する能力を得ることができるAIは、さらにそのデータを瞬時に共有し統合していけるし、最新情報にアップデートできるわけです。

人間側の都合にはお構いなく、能力的には人間は太刀打ちできなくなるのは間違いないですね。

そこには大いなる可能性も秘められていますが、同時に人類は無用になってしまう可能性もあるというのは、その通りの状況のようにも思えます。

うーん、やっぱり著者が言うように、今すぐにでも、もっと考えた方がいいような気がしてきます…。


ところで本書では、著者自身の話も結構書かれています。

なので、とても優れた知性の著者がどういう人なのか少しだけ垣間見られるので、そこも興味深いです。

様々な学び、気付きのある本なので、おすすめです。

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