HOMO DEUS A Brief History of Tomorrow
- 世界的ベストセラー「サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福」のユヴァル・ノア・ハラリが示す未来への提言
21世期に人類が目指すであろう新たな目標とは、人間を神にアップグレードし、ホモ・サピエンスをホモ・デウス(デウスは神を意味する)に変えることだと著者は指摘します。
それは「不死と至福と神性を獲得しようとする試み」だが、人類は否応無しにその方向に向かうだろうと。
生命科学における、人間も含む生き物はアルゴリズムの集合に過ぎないとするような考え方や、最近のAIの急速な発達は、著者が指摘する未来の到来はそう遠くないことのように思わせるものがあります。
IoTが進み、莫大なデータがサイバー空間に蓄積され、AIが人間の知能を凌駕したとき、果たして人類に役割は残るのでしょうか。 - 「サピエンス全史」で人類の歴史を俯瞰した著者が、今度は未来を予測し、警告と提言を我々に示しています
「ホモ・デウス」の著者
ユヴァル・ノア・ハラリ
「ホモ・デウス」のページ数
「ホモ・デウス」の発売日
「ホモ・デウス」の英語学習レベル(読みやすさ)
英語のレベル 中級
英語レベルは、中級です。
もちろん、いくつかの領域の専門用語は辞書の助けが必要になると思いますが、基本的には平易な英語で書かれています。
という意味では、ビジネスマンが英語を学習するのに適度なレベル感の本だと思います。
学術的にはなり過ぎず、テーマもテクノロジーの進化やデータ至上主義などの現代社会で盛んに議論されているものが多いです。
最新の話題に触れつつ、英語を読み慣れていくのにちょうどいい洋書ではないでしょうか。
「ホモ・デウス」はどういう人向きの洋書?
最先端の知見に触れたいというビジネスマンにおすすめです。
ユヴァル・ノア・ハラリ教授は歴史学者なわけですが、本書は歴史書という類のものではなく、著者の知性が生み出した斬新なアイデア、警告、提言です。
単純に面白いです。
なるほど、確かにと言いたくなる話題がどんどん出てきますので、退屈しません。
「ホモ・デウス」へのコメント
総務省の「平成30年版 情報通信白書」によれば、世界のデータ流通量は2014年の月間60エクサバイトから、2020年には228エクサバイトに増加するという予測です。
そしてIoTデバイス数の推移を見てみると、2014年に170.4億台だったデバイス数は、2020年に403.0億台に増加する見込みです。
出典:「平成 30 年版情報通信白書」(総務省) http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/
こうしたデータにも現れている通り、好むと好まざるとにかかわらず、我々は「すべてのモノのインターネット」とデータ至上主義への道を歩んでいるように見えます。
内閣府の第5期科学技術基本計画において提唱されたSociety 5.0では、「IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、〜中略〜 これまでの閉塞感を打破し、希望の持てる社会、世代を超えて互いに尊重し合あえる社会、一人一人が快適で活躍できる社会となります」とされており、世界は人間至上主義の延長線上にあるかのように語られています。
しかし、著者が示すのは、それとは異なるストーリーです。
トランス・ヒューマニスト的な展開は、大多数の人にはまだまだ夢物語的に聴こえることだと思いますが、著者が本書で示している論理的帰結には納得させられるものがあります。
例えば遺伝子操作ですが、隣人たちが子供にそうした処置を与えていたときに、あなたは自分の子供に遅れを取らせるだろうか、という問い掛けはそうだよなと思いますよね。
我々が個人としてではなく、集団として意識せぬまま、少しずつ著者が示したような方向に進んでいくということは、十分にあり得ることです。
今やAIも量子コンピュータも現実のものとなってきました。
本書は2017年に書かれたものですが、すでにこの数年間でも世の中はさらに変わりつつあります。
このまま行けば、変化の速度は益々上がり、10年後、20年後を想像することは相当難しくなりつつあります。
そういう中で、本書はどこに着目すべきか、何を考えておかなくてはいけないかについて、多くのヒントを与えてくれています。
読む価値ありです。
The future is here. It’s just not widely distributed yet.
– William Gibson
SF作家のウィリアム・ギブスンの言葉ですが、変化のスピードが上がり、SFのようなものと思っていた未来が、いろいろなところに見え隠れしています。
明るい未来なのか、暗い未来なのかは自分たち次第。
考えなきゃね、というのが著者のメッセージでしょうか。
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