1979年刊行のジェフリー・アーチャーの傑作ドラマ。
今、ふたたび読み返しても、その魅力はまったく変わりません。
まったく異なる境遇で育った二人だが、やがて運命の糸が絡み合い、二人はホテル王と銀行家として対立しあう存在となる。
過酷な運命をくぐり抜け、成り上がった移民のアベルと、裕福な名門一族の成功者であるケインの、生涯に亘る対立と結末の大どんでん返しに、最後まで引き込まれます!
「ケインとアベル」の著者
ジェフリー・アーチャー
「ケインとアベル」のページ数
「ケインとアベル」の英語学習レベル(読みやすさ)
英語のレベル 中級
英語レベルは、中級です。
特段、文法的に難しいといったことはないのですが、かなり単語はバラエティに富んでいる印象です。
また、たまにちょっと堅苦しい雰囲気の言い方などが使われていたりします。
例えば「散策する」というのが、perambulateであるとか。
やはり著者が、英国人でオックスフォード大学卒業、若くして議員を務めたりしている経歴ということもあるのかもしれません。
完全に理解しようとすると語彙力が要求されますが、決して読みにくいということはなく、ストーリーとしてとても面白いので、気がつくと長く読んでいたという感じになるのではないでしょうか。
文体や特徴
交互にヴワデク(アベル)の話とケインの話というふうに語られていくので、適度に極めて異なった生立ちの二人の話が出てきて、飽きさせないです。
そして、それぞれがドラマティックなので、読むのが楽しいという類の小説です。
ジェフリー・アーチャーは、本当に優れたストーリー・テラーですね。
「ケインとアベル」へのコメント
ヴワデク・コスキェヴィチ(後のアベル・ロスノフスキ男爵)とウィリアム・ケインは、1906年4月18日の同日に、それぞれポーランドとアメリカで生まれたという設定。
ヴワデクが生まれ育った頃のポーランドは、旧ドイツ帝国と旧ソビエト連邦の間で翻弄された複雑な歴史を持つ国であったようです。
そしてヴワデクや彼の周囲の人々もそうした歴史の犠牲となり、過酷な運命を辿りますが、ヴワデクはいくつかの幸運に恵まれ、放浪の果てにアメリカに辿り着きます。
一方で、ウィリアム・ケインは、ボストンの名門ケイン家の子息として生まれ、幼いうちに父親を亡くすという出来事はありましたが、ヴワデクとは対照的に極めて恵まれた環境で育っていくことになります。
ウィリアムは少年の頃から、学業や投資において才能を示し、有能さを発揮しながら、順調に父親の跡を継いで銀行家としての道を歩んでいきます。
この対照的な二人は、やがてホテル事業主と銀行家という立場で関わり合うようになり、生涯に渡り対決していくことになりますが、最後に大きなどんでん返しが仕掛けられています。
この「ケインとアベル」はジェフリー・アーチャーの3作目の長編ですが、本人が、3作目が勝負と言って気合を入れて書いた作品だそうです。
確かに、二人の男の生涯を正面から描き切った大作で、読み応えがあります。
面白い小説を読む醍醐味が味わえる作品ですので、じっくりと楽しんでください。
読み応えのある壮大な人間ドラマです!
この物語が気に入ったら、「ロスノフスキ家の娘」という続編もありますので、さらに楽しみが続きます。
「ケインとアベル」の映像化
- 英国でテレビドラマ化されています
「ケインとアベル」の主要登場人物
- 登場人物紹介はクリック→
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Abel Rosnovski
Wladek Koskiewiczアベル・ロスノフスキ男爵(ヴワデク)
ポーランド生まれの私生児William Lowell Kane
ウィリアム・ケイン
ボストンの銀行家、名門ケイン家の一人息子Richard Kane
リチャード・ケイン
ウィリアムの父、銀行頭取Ann Kane アン・ケイン
ウィリアムの母Dr. MacKenzie マッケンジー医師
産科医Alan Lloyd アラン・ロイド
銀行家Milly Preston ミリー・プレストン
アンの親友Henry Osborne ヘンリー・オズボーン
アンの二度目の夫Matthew Lester マシュー・レスター
ウィリアムの親友Thomas Cohen トーマス・コーエン
法律事務所の弁護士Tony Simmons トニー・シモンズ
ウィリアムの上司Katherine Brookes ケイト
美しい未亡人Jasio Koskiewicz
ヤシオ
ヴワデクの養父、猟師Helena Koskiewicz ヘレナ
ヴワデクの養母Florentyna Koskiewicz フロレンティナ
ヤシオとヘレナの娘Baron Rosnovski ロスノフスキ男爵
領主Leon Rosnovski レオン
ロスノフスキ男爵の息子Jerzy Nowak イェジー・ノヴァク
ヴワデクの親友Zaphia ザフィア
移民船で知り合ったポーランド娘Davis Leroy デーヴィス・リロイ
リッチモンド・ホテルグループの総支配人Melanie Leroy メラニー
デーヴィス・リロイの娘Desmond Pacey デズモンド・ペイシー
シカゴ・リッチモンド支配人
出典:「Kane & Abel」 Jeffrey Archer